バイデン氏と日本・韓国・オーストラリア首脳との電話会談要旨について、外交の専門家がツイッターで興味深いやりとりをしています。
バイデン氏と日韓豪各首脳との電話会談要旨。微妙にトーンが違いますが、共通するのはIndo-Pacificの修飾語が、”free and open”ではなく、”secure and prosperous”になっている点です。「不自由で開かれてない国にも、将来繁栄の余地がある」というステークホルダー論の片鱗を感じるのはひねくれすぎ? https://t.co/f6IjFdtnyY
— Masashi MURANO (@show_murano) November 12, 2020
あなどれない問題。
今まで世界中の会議で、FOIP(Free and Open Indo-Pacific)でやってきた。
もしアメリカの大統領が定型句で固定化された概念を引き継ぐの拒否し、太平洋とインド洋を単なる地理知的概念と扱い、そこで豪・日・韓を完全に同格に扱うのだとしたら、日本外交は敗北だと思う。 https://t.co/JtxiqnssMW— 篠田英朗 Hideaki SHINODA (@ShinodaHideaki) November 12, 2020
安倍外交を通じて、日本はようやく「自由で開かれた」という価値観外交を自分のものにしようと進み始めたのだから、ここで踏ん張って米国の安全保障戦略概念の形成・踏襲をリードすべき。自分たちの目指す秩序は、「不自由で開かれていない」中国のそれとは違うことをはっきりさせる意味を持つ。 https://t.co/xH0TEn7bDC
— Masashi MURANO (@show_murano) November 12, 2020
興味深い指摘。FOIPがSPIPやPSIPになるのか、その場合に普遍的価値の比重が落ちる(それが意図されている)のかは要注意点。ただ、そもそも菅政権がどこまでFOIPの価値の側面を重視しているのかも不明確(地理的概念だとの声も)で、米新政権への働きかけ以前に、日本側での認識の統一が急務では? https://t.co/boWCEkVWom
— Michito Tsuruoka / 鶴岡路人 (@MichitoTsuruoka) November 12, 2020
というご指摘 https://t.co/B7tq9PQlNS
— Masashi MURANO (@show_murano) November 12, 2020
トランプ政権は、オバマ政権がやってきたことの否定という側面も多くあったが、安全保障戦略・国防戦略のキャッチフレーズになった「大国間競争」「長期の戦略的競争」という概念は、オバマ政権後期のフレーズ・概念認識をそのまま引き継いだもの。これも踏襲して欲しい。
— Masashi MURANO (@show_murano) November 12, 2020
非常に興味深いやりとりです。以前の記事で書いたように、文言の変更は内容の変更を反映していると考えられるので、今後米国の政策に何か変化があるのか、注意深く進展を追っていきたいと思います。まだ再集計等が続いている大統領選そのものがどういう風に着地するにせよ、米国の内政がしばらく不安定になり外交に力を注げない事態も考えられますので、日本の対応に要注目です。
*参考: