関係代名詞は『鬼滅の刃』英語版(”Demon Slayer — Kimetsu no Yaiba”)で一番目についた文法項目です。
関係代名詞(主格)については、こちらの記事で解説しました。
今日は関係代名詞(目的格)について解説します。
関係代名詞(目的格)を使った文とは、こういうものです。
You must be the one (whom/who )Giyu told me about.
「義勇の紹介はお前で間違いないな?」
“Demon Slayer –Kimetsu no Yaiba” Volume 1, Chapter 3 ’Return by Dawn’
『鬼滅の刃』第1巻 第3話 「必ず戻る夜明けまでには」より
英語を直訳で日本語に訳し戻すと、「お前が義勇が話していた者だな」となります。
the one は「前に出てきた名詞の言い換え」のバリエーションの一つなのですが、面倒なので
You must be the boy Giyu told me about. 「お前が義勇が話していた少年だな」ということで解説していきましょう。
「義勇が(自分に)話していた少年」(1)は、「義勇は(自分に)その少年について話した」(2)という文章を変形して作ることができます。
(2)の「義勇は(自分に)その少年について話した」はGiyu told me about the boy.(3)という文章になります。tell (人)about (物・人)で「〜(人)に〜(物・人)について話す」。
(2)を変形させて(1)の「義勇が(自分に)話していた少年」という語句を作るには、
修飾したい語句”boy“を最初に持ってきて、
次につなぎの言葉(関係代名詞)のwhom/whoでつなぎ、
残りを最初からくっつけます。これでthe boy who/whom Giyu told me about.(義勇が(自分に)話をしていた少年)になります。
図にするとこんな感じですね。
なぜこの使い方が「関係代名詞の目的格」と言われるかというと、先行詞(修飾される言葉。この場合はthe boy)が変形される前の文の目的語になっているからです。
そして、関係代名詞(つなぎの言葉)のところにwho/whomと二つ書きましたが、目的格ではどちらを使っても構いません。昔はwhomを多用していましたが、最近は特殊な場合を除きwhoを使うことが多いようです。
関係代名詞(主格)の説明では書いていませんでしたが、
先行詞が物の時は関係代名詞はwhichあるいはthat
先行詞が人の場合は関係代名詞はwho(whom)あるいはthatになります。
そしてもう一つ。目的格の関係代名詞で大事なところは、関係代名詞を省略できるということです。
なので、「義勇が(自分に)話していた少年」を”the boy (who/whom/that) Giyu told me about“と表現できるわけです。
そして、関係代名詞を使って変形させた語句「義勇が話していた少年」=”the boy Giyu told me about“は完全な文章ではなく文章の一部なので、こういうふうに文の構成要素として使うことができるようになるのです。
You must be the boy. お前が少年だな。
You must be the boy Giyu told me about. お前が義勇が話していた少年だな。
これが漫画の中では、the boyではなくthe oneに変わっているだけです。
さてそれでは、これはどうなるでしょう?
I ate all of them because of the masks they wore.
「それをつけているせいでみんな喰われた」
“Demon Slayer –Kimetsu no Yaiba–” Volume 1, Chapter 7 ‘Spirit of the Deceased’より
『鬼滅の刃』第1巻 第7話「亡霊」より
手鬼が「厄除の面」を着けていることを目印に鱗滝さんの弟子を食ったのだ、と述べているところですね。
英訳を日本語に直訳的に訳し戻すと「彼らが着けていた面があったから俺は彼らを全部食った」。because of は「〜ゆえに」「〜という理由で」と理由や要因を表す言葉です。
もう簡単にお分かりいただけるのではないでしょうか。
「彼らが着けていた面(the masks (that) they wore)」は「彼らは面を着けていた(They wore the masks.)」を変形させてできた言葉なのです。
関係代名詞の目的格を使うと、「AがBしていたC」という風に、主格よりも更に複雑な表現が可能になります。漫画ではスペースの関係もあって目的格の関係代名詞は省略される場合がほとんどというのを頭に入れて、どんどん読んでいってみてください。