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シバタナオキ著『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』

通訳技術を身に着けたい方の英語クラスを受け持つ時、私は必ず企業の決算発表や会社説明会を題材として取り上げることにしています。ビジネスの話ではお金の話は必ず出てきますし、「物事を数字を使って客観的に説明する」というスタイルの英語を覚えるのはとても汎用性が高いからです。

しかし、企業の決算を読むといっても、ただプレゼンを聞くだけではなくて、それがどういう意味を持つかを理解できるようになるのは大変です。大変なのには主に二つの側面があって、

1)会計用語や概念が難しい

2) ビジネスモデルの理解が難しい

ということが挙げられます。

この本は、会計用語の解説もありますが、主に2)のほうの課題に答えてくれる本ですね。

*1)のほうの課題、特に英語の会計用語について学びたい場合は、大津広一氏の『英語の決算書を読むスキル』などが詳しいです。初版が2012年なのでケースが少し古くなっていますが、costとexpenseの違いなど、混同しやすい点も丁寧に解説されています。

著者のシバタナオキ氏は楽天の役員を務めていた方。eコマース、広告ビジネス、個人課金ビジネス、携帯キャリアなどのビジネスモデル−−要するにどうやってお金を儲けるかということ−−をわかりやすく解説されています。

業界が違えば、その会社がうまくいっているのかいっていないかを判断するために使われる指標も違うし、用語も違うし、期待される利益率なども違う。そのことがよく分かる本です。

第1章でのべられている「決算を上手に読むための10ヵ条」は、Investor Relationsの通訳をしたい人にも役に立つ内容です。「決算短信でなく、決算説明会資料から読む」「成長率を必ず確認する」は私もやっています。

この本も2017年刊行なので、その後のビジネスの動きは反映されていません。LINEとヤフーの統合、政府が主導する携帯料金の値下げなど、大きな動きが出てきていますので、著者のサイト「決算が読めるようになるノート」で最新情報を仕入れるようにするとよいかもしれません。

 

 

 

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