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日英通訳力の伸ばし方ーー英語から日本語、そして日本語から英語に訳し戻してみよう!

英語学習

日英通訳の上達に頭を悩ませている人は多いと思います。でも、第二言語の方向へ通訳することのほうが難しいのは当たり前。自分でやってみて効果があったと思う学習方法で、受講生の方にも紹介して好評だったものを一つご紹介します。

用意するものは、日本語と英語が対訳になっている文章。ジャパンタイムスの社説集でもいいし、その他ニュースや演説を集めた本でもOK。ジャパン・ニュース(The Japan News)には数日遅れで読売新聞の社説が載るし、The Japan Times STオンラインにはストレート・ニュースの対訳があります。

手順としては次の通り。

  1. 英語から日本語へのサイトラを試してみる。
  2. 自分の訳出とテキストの日本語との違いを検討する。
  3. テキストの英語を何度か音読する。
  4. 日本語から英語へのサイトラを試みる。
  5. 自分の訳出とテキストの英語との違いを検討する。

日英の上達のために新聞記事のサイトラや訳出に取り組むケースは多いと思います。私もやっています。でも、新聞記事は案外難しいのです。その時々でニュースになった幅広いトピックが扱われており、中には専門用語もあるため、調べ物に時間がかかるのです。調べ物に時間がかかりすぎると、肝心の日本語→英語の訳出練習が十分できなくなってしまいます。

そこで、用語を確認するのを兼ねて、英訳から日本語への訳出をまずやってしまいましょう。ここでも、色々発見があります。訳出と日本語テキストを比べてみると、冗長さに違いがありますね。日本語は漢語を適切に使うことで引き締まった表現ができることがわかります(ただし、通訳は耳で聞いて分かりやすいかどうかが大切なので、同音異義語の多い漢語はあまり使えません。通訳への準備運動としてサイトラを考えるという点では注意が必要です)。

音読をするのは、重要語句を覚えるほか、英語的な文章の構成法ではどうなるのか確認する、ということを目的にしています。

この準備作業を行ってから、日→英のサイトラ・訳出を行ってみると、そうではない場合よりも比較的スムーズに訳出ができるのではないかと思います。もちろん、上達するにつれ、1.2.を飛ばしてもよいし、いきなり4.から始めてもいいでしょう。

これはThe Japan Newsを用いて、読売新聞の社説とその英訳を使って英日・日英双方のサイトラ(訳し戻し)を行ったもの

特に難しい話題ではないのですが、「能力の限界に挑む」「東京大会の開催を呼び込む」などすぐに対訳が思いつかない日本語も多く使われています。

日本語をどう解釈するか」という点で、日本語の社説やコラムの英訳は参考になります。

日英のサイトラは、「考え込まずに即訳す」というサイトラの3つ目の定義に従うことを心がけたので、それを可能にするために文章の構造を表す記号やスラッシュを適宜入れています。

なお、社説は書き言葉なので、It is hoped that…など、不自然な表現も時々あるので注意。英語では、どうしても必要な時以外は受動態を用いないのが普通なので、It is hoped…のような英訳になっていた時は、適宜We hope…などに直して練習しました。

日本語記事が原文でそれを英語に訳したものは、英語がオリジナルのものに比べると文章構成上の仕掛けが多い、華やかな名文というものは少ないです。語彙を増やせるにしても、英語で新たな語彙を仕入れるというよりも、上記のように日本語から英語へ訳す場合の訳語の選択として何が適切かを確認する場合が多いと思います。でも、日本人通訳者として日本語から英語へのの訳出で目指すべきはまず事実関係を堅実に訳せることではないかと私は思っているので、新聞記事の英訳は一つの目安になると思っています。

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こういう練習をするのに向いているサイトをいくつかご紹介しましょう。

ニュースで英語術:NHKのサイト。時事英語を取り上げ、同じ記事を英語と日本語で読めます。期間限定ですが動画も見ることができます。英語学習初級〜中級者向き。

Bloomberg: 主に金融・経済関連のニュース。日本語記事の下のほうに原文へのリンクがあります。ただし、日本語記事は英語記事からの一部抜粋、あるいは複数の英語記事をまとめたものになっていることがあります。英語学習上級者〜通訳訓練生向き。

BBC News Japan国際政治全般。これも、Bloombergと同様、日本語記事の下のほうに原文のリンクがあります。複数記事の抜粋のことが多いもの同様ですね。英語学習上級者〜通訳訓練生向き。

 

 

 

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