大人気漫画『鬼滅の刃』。英語版を読むのも勉強になっていいですよ、と以前書きましたが、いくつか「文法的な関門」みたいなものがあるので解説していきます。
今回は「関係代名詞」。
どういうところで使われているかというと…。
A human who becomes a demon cannot go back.
直訳:鬼になった人間は元に戻らない。
(もともとの日本語は「鬼になったら人間に戻ることはない」)
Go see an old man named Sakonji Urokodaki who lives at the foot of Mount Sagiri.
(もともとの日本語は「狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次という老人を訪ねろ)
*いずれも”Demon Slayer — Kimetsu no Yaiba– Vol.1, Chapter 1 “Cruelty”より
太字と下線で示した部分が「関係代名詞を用いた表現」になります。
いずれも、「〜している人」というふうに、人を詳しく修飾する言葉ですね(「〜している物」というふうに物の修飾についても使えるのですが、これは別の機会に紹介します)。
「鬼になった人間」
「狭霧山の麓に住む老人」
をどう表現すればいいかと言うと、上に書いてあるとおり、
“a human who becomes a demon”
“an old man who lives at the foot of Mount Sagiri“。
これはどういう仕組みでできているかというと、
A human becomes a man. (人間は鬼になる)…(1)
An old man lives at the foot of Mount Sagiri. (老人が狭霧山の麓に住んでいる)…(2)
という文章を変形させたものなのです。
「人間が鬼になる」を「鬼になった人間」に変形させたい時は…
A human becomes a demon. (1) → a human who becomes a demon (3)
と変形させます。つまり、赤字部分(修飾したい語句)を最初に持ってきて、whoという言葉でつなぎ、文章の残りの部分を最初から続けます。
文法的に言うと、whoが「関係代名詞」というもので、赤字部分は「先行詞」と言います。
(でもこれは無理して覚えなくてもいいです)
図解するとこんな感じ。
もともとの文章(変形する前の文章)の主語に当たる部分が先行詞になるため、この使い方を「関係代名詞の主格」と言います。これもまあ、覚えなくてもよいかも。
重要なのは、(1)の「変形する前の文章」が主語と動詞のある完全な「文章」であるのに対し、(3)の「関係代名詞を使って変形したもの」は完全な文章ではなく、文章の一部、すなわち構成部分として扱われるということです。
日本語でも「鬼になった人間」ということで全体として名詞の扱いになりますが、”a human who becomes a demon“全体で名詞の扱いになります。ということは、文章の主語や目的語、補語になれるのです。
ということで、こうなります。
これで、
“A human who becomes a demon cannot come back“=「鬼になった人間は元に戻れない」になるわけです。
鱗滝さんに関する文を同様に変形すると…
「老人が狭霧山の麓に住んでいる」→「狭霧山の麓に住んでいる老人」
An old man lives at the foot of Mount Sagiri. …(2)
→ an old man who lives at the foot of Mount Sagiri…(4)
(4)は先程申し上げたように「全体で名詞扱い」となり「文章の一部」になりますので、こんな感じになります。
「名詞扱い」なので、文章の主語にも補語にも目的語にもなれますが、ここでは文章全体の目的語になっています。なお、命令文の場合はyouが省略されていると考えますので、主語はなくてOK。
なお、「鱗滝左近次という老人」=”an old man named Sakonji Urokodaki“の説明を省略しましたが、これは名詞を修飾する別の方法が使われています。
a boy named Tanjiro 炭治郎という名の少年
a girl named Nezuko 禰豆子という名の少女
という例で覚えてしまいましょう。
同じように使われる動詞にcallがあって、
a young man called Giyu 義勇という名の青年
という言い方もできます。
関係代名詞がわかると、英語版の漫画もぐっと楽しめると思います。楽しみながら、英語を学んでください!